最高裁調査
4年半親族や弁護士
認知症などの人の財産を守るための後見制度で、後見人による着服などの不正の被害額が昨年末までの4年半で少なくとも196億円に上ることが最高裁のまとめでわかった。多くは後見人に選ばれた親族によるものだが、弁護士や司法書士など専門職による被害も1億円余りあった。
最高裁が2010年6月から集計を始めた。被害額はわかっているものだけで、11年は33億4千万円だったが、12、13年はいずれも40億円を越え、14年は約56億7千万円と過去最悪だった。専門職による被害額も14年は約5億6千万円で最悪だった。
成年後見制度は00年に始まった。本人や家族が親族が家庭裁判所に申立て、家裁が親族や弁護士らを後見人として選び、財産を適正に管理しているか、年に一度報告を求めている。
最高裁によると、各家裁は不正防止に向け、被後見人の財産を信託する、親族と弁護士ら専門職を同時に後見人に選ぶといった取り組みを進めている。
日本成年後見法学会理事長の新井誠・中央大教授は、背景に、制度を理解しないまま親族が後見人に就くことや、資金繰りに困る弁護士が増えていることがあると指摘。「福祉行政や弁護士会などの専門職団体と連携を深める必要がある」と話す。
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