こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
認知症の社会的コストは国内総生産(GDP)の約3%に相当する年間14兆5千億円_。慶応大学グループが国内で始めて認知症の社会的コストを推計した。認知症の人は現在、予備軍を含めて1000万人に達するとされる。政策立案の基礎データが明らかになった意義は大きい。
社会的コストは、医療費や介護費などの直接的費用だけでなく、本人や家族が仕事を辞めたり、働く時間を短くしたりして被る「労働生産性の損失」など見えにくい費用を含めたのが特徴。
社会保障給付金が一般会計の3割強の31.5兆円(2015年度)に達する現状では、医療や介護に費やされる財源には限りがあり、適切で効率的な使われ方が不可欠だ。
一方、認知症患者の介護が家族だけに負わされては、家族の負担がかさむ。
総務省の「就業構造基本調査」(12年)によると、働きながら介護している人は239万9千人で、女性は137万2千人(雇用者総数の5.5%)、男性102万7千人(同3.3%)。年齢階層別では男女とも55〜59歳が最も多い。
こうした中、家族の介護のために離職「介護離職」が増えている。「財団法人21世紀職業財団」の報告書(11年3月)によると、02年10月〜07年9月の5年間で介護・看護のために離職した人は56万8千人に上る。その8割が女性で、年齢別では、40〜60代の働き盛り世代が8割を占める。
制度面での支援も強化されてきた。仕事と介護の両立を支えようと介護休業制度(最大93日)、介護休暇制度(最大5日)が相次ぎ創設された。しかし、出産・育児関連の支援制度に比べ、認知度や取得率は低い。
13年に公表された「社会保障制度改革国民会議報告書」は「今後要介護者が急増して親などの介護を理由として離職する人が大幅に増加する懸念がある」と指摘。「介護休業・休暇を周知・徹底するとともに、こうした制度を実際に利用できる職場環境の整備を積極的に支援していくことが必要」と提言している。
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