こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
親元を離れて暮らし始めた大学生や、初任給が出た新社会人らに、お金に関する知識や判断力を身につけてもらおうという「金融教育」が広がっている。金融広報中央委員会(事務局・日銀)は3月に冊子「大学生のための人生とお金の知恵」を発行し、各大学に配布した。年金不安や少子高齢化が進むなか、若いうちに正しい知識を得ることが不可欠だ。
授業で「人生設計」
「人生で重要なことの多くは30歳までにおきます。30歳までのライフプランを具体的に描いてみましょう」「世の中にうまい話はありません。人をだましてもうけようとする人は多いので十分注意すること」_。
大妻女子大学短期大学部(東京都千代田区)は、金融広報中央委員会の竹内利久企画役を講師に迎え、3年前から「金融と生活」の授業を実施している。期間は4月から半年間だ。
教科書として「大学生のための 人生お金の知恵」を使い、働く意味やライフプランを立てることの重要性などの基礎的知識を教える。その後も、貯金や投資をはじめ、クレジットカード、生命保険などの金融商品の説明、トラブルが起きたときの具体的な対応など内容は幅広い。自分の高校卒業までに2000万〜3000万超のお金が必要だった_など、興味のわきやすい話題も取り上げる。
竹内さんが「お金を増やすのは実はそんなに難しくない。収入の範囲内で生活して、収支を黒字化するのが大事だ」と説明すると学生は真剣にノートに書き込んでいた。1年の天野真佑さん(18)は「経済は難しいと思ってこれまでは興味がなかったが、今後の生活に役立つと思うと関心が持てた」と積極的に質問していた。
授業を企画した玉木伸介教授(経済学)は「高度成長期は大学を卒業して正社員になれば結婚して子供を持つとともに給料は増え、定年後は高い年金をもらえるのが一般的だった」とし、「今は社会が多様化しており、ライフプランも自分で考えなければならない。短大生は2年で社会に出ることもあり、就職にも役立つ」と語る。
経済協力開発機構(OECD)が2012年に、国レベルで金融教育戦略を策定する原則を発表したこともあり、委員会の中に官民で作る金融経済教育推進会議が13年度に設置された。その一環として、今年度は5大学で講義をおこなう。今回の授業はそれに先駆けて、委員会独自で行っている。
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