認知症見守りに対応
17年導入検討
家族の介護で仕事を休みやすくするため、厚生労働省が育児・介護休業法の改正を検討している。病気やけがで介護が必要になるごとに93日を限度として1回しかとれない「介護休暇」を、分割できるようにする年5回までの「看護休暇」も、細かく取りやすいように見直す。2017年からの導入をめざす。
最近増えている認知症患者の場合、症状が安定せずに長期間の見守りが必要なケースも多い。症状の悪化で家族による交代の世話必要な時、断続的に仕事を休めるような仕組みをめざす。1日単位で取る介護休暇も、半日や時間単位でも休める制度を探る。
介護休暇制度は1999年に導入された。3ヵ月ほどを限定としたのは、脳卒中などで倒れて介護を受けた人のその後のについて、長期入院が必要か、自宅療養に移れるか、といった見通しが立つ期間だという前提があった。
ところが、「仕事と介護を両立させるには、分けて休める方がいい」といった声が強まってきた。厚労省によると、介護の開始時に仕事をしていた人のうち2割弱が辞めていたという調査もある。こうした「介護離職」を少しでも減らす必要も出てきた。
さらに制度の使い勝手の悪さもあって、広く使われていない。総務省によると、介護をする労働者は2012年で約240万人いるが、介護休業の利用は3.2%、介護休暇は2.3%にとどまる。厚労省の委託調査でも、介護のために連続して休んだ人の4割が、年次有給休暇を利用していた。このため厚労省は昨秋、有識者の研究会を立ち上げ、制度見直しの検討を始めた。今夏には報告をまとめ、今秋からの労働政策審議会の議論を経て、16年の法改正、17年の施行につなげたい考えだ。
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