日本発、無人機目的地にピンポイント
宇宙航空研究機構(JAXA)が日本初の月面着陸機を平成30年度に打ち上げる方針を固めたことがさきごろ分かった。政府の宇宙政策委員会が夏までに正式決定する見通しで、旧ソ連、米国、中国に続く無人の月面探索機での軟着陸に挑む。目標地点に高い精度で降り立ち、将来の資源探査に役立つ技術の確立を目指す。
関係者によると、さきごろ開かれた宇宙政策委の小委員会と文部科学省の有識者会合で、JAXAが月面探索機「SLIM](スリム)の計画を説明する。
小型ロケット「イプシロン」5号機で内之浦宇宙空間観測所(鹿児島県)から打ち上げる。開発費は打ち上げ費用を含め100億〜150億程度の見通し。宇宙政策委の了承を経て文科省が来年度予算の概算要求に関連費用を盛り込む。
各国の月・惑星探索機の着陸地点は、目標に対し1〜数キロの誤差があった。これに対しスリムは、デジタルカメラの顔認識技術を応用してクレーターの位置を認識するなどの方法により、誤差を100メートルまで縮め、目的地に正確に降り立つ技術の獲得を目指す。
無人探索機による月面着陸は1966(昭和41)年の旧ソ連と米国に続き、中国が2013年に成功。インドも数年以内の実現を目指している。日本は平成19年に打ち上げた月周回機「かぐや」が大きな成果を挙げ、次のステップとして着陸機が待たれていた。
日本は17年に探査機「はやぶさ」がわずかに重力がある小惑星に着陸したが、重力が地球の数分の1と比較的大きい天体への着陸計画は初めて。将来の火星探査に向け技術を蓄積する狙いもある。
日本の民間チームも来年後半に米国のロケットで月に探査車を送り込む計画だが、月面への到達は米国の着陸機に依存している。
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