自民党はさきごろ、金融機関の口座に10年以上預けられたまま、お金が出し入れされていない「休眠預金」を、公益活動の支援に活用するための議員立法について検討を始めた。休眠預金を福祉や教育などの団体に配分する案が有力で、早ければ今国会への法案提出を目指す。ただ、配分する先や金額をどう公平に決めるのかなど、課題は多く、議論が長期化する可能性はある。
自民党はさきごろ内閣部会などの合同部会を開き、超党派の議員連盟がこれまで議論してきた案の説明を受けた。休眠預金の活用に大きな反対は出なかったが、具体的な仕組み作りについては、「使途範囲や分野をどう決めるのか」「透明性の確保はどうするのか」といった声が相次いだ。
超党派の議連に所属する他党ののメンバーは今後、それぞれの党で調整を本格化させる。法案提出の見通しに関しては、内閣部会長の秋元司衆議院議員は「議論し始めた段階で、先のことは言えない」とだけ語った。休眠預金は転居や死去で、解約されないまま忘れられた口座が多い。金融機関は10年以上過ぎても返金に応じているが、毎年500億〜600億円程度が発生し、銀行は利益に計上している。
休眠預金を、公益団体に移管して福祉活動の補助に使っている英国や韓国などの例を参考に法案作成を目指す。
民主党政権が2012年に休眠預金の活用を打ち出したが政権交代で立ち消えとなった。その後、14年4月に与野党の議員による超党派議連が発足した。議連は、国などが出資して、預金者保護などを業務にする「預金保険機構」に、休眠預金の管理を任せる仕組みを検討している。新設する「指定活用団体」が、預保機構から実際に資金を交付され、休眠預金の配分先などを決めていく流れだ。
金融界も協力する姿勢だが、膨大な休眠預金のデータを管理するには、新たなコンピューターシステムが必要になるとみられる。その投資負担をどのようにするのか、といった点なども詰める必要がある。
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