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2015.06.12更新

身寄りない認知症高齢者財産保護

 身寄りのない認知症のお年寄りらの財産や生活を守るため、市区町村長(首長)がやむなく家庭裁判所の「成年後見」を申し立てた件数がこの5年で2.3倍に急増したことが朝日新聞の調べで分かった。認知症高齢者の孤立化が進んでいる実情が浮き彫りになった。

 認知症などで判断力が不十分になった人に代わり、親族や弁護士らが財産管理などを担う「成年後見制度」の申し立て状況について、朝日新聞が全国50の家裁に聞いた。2014年に家裁の判断が出た総数は計3万4205件で、前年からほぼ横ばいだった。
 このうち、市区町村長による「首長申し立て」の件数は前年より11%多い5596件。09年は2471件だったが、年々増え、全体に占める首長申し立ての割合は09年の9%から16%に上がった。都道府県別では東京(894件)や大阪(525件)は多く、首長申し立ての比率は山形(34%)、徳島(30%)、山梨(30%)の順に多かった。
 成年後見は、親族による申し立てが基本だ。たとえば一人暮らしで財産管理が難しくなった認知症の人の情報を、近所の人や民生委員らを通じて市区町村が把握した場合も、原則、市区町村が親族を探して申し立ててもらう。後見人がつかないと、公共料金を支払えず生活できなくなったり、悪質な商法にだまされたりする恐れがあるからだ。
 だが、親族が見つからなかったり、親族がいても申し立てに協力してくれなかったりする場合、首長が代わって家裁に申し立てることができる。認知症の親の年金を子が使い込んだり、施設の利用契約ができずにいたりするケースも首長申し立ての対象となる。
 首長申し立てが増える背景には身寄りのない認知症高齢者の増加や、自治体が親族に申し立てを促しても親族から拒まれるケースが増えていることがある。
 ただ、首長申し立てには手続きのノウハウが必要で、手間もかかるため、同じ人口規模の自治体でも申立て件数はばらつきがある。必要な支援が行き届かない認知症の人も少なくないとみられている。


〜成年後見制度とは
 認知症や知的障害、精神障害などで判断力が不十分になった人を支援する制度で2000年に始まった。親族や弁護士などの専門職らが成年後見人となり、本人にかわって金銭管理や介護・医療に関する契約を行う。利用者数は13年末で17万6564人。

投稿者: 松村税務会計事務所

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