会計検査院が東日本大震災の復興予算や事業について重点的に検査したところ、復興計画が進んでいない現状や予算が有効活用されていない実態が浮き彫りになった。
国は津波の被害が大きかった沿岸部の住民らに高台への集団移転を促す事業で、これまでに岩手と宮城、福島の3県に4410億円を投じた。
しかし、2013年度末に宅地の造成工事を終える予定だった55事業のうち、実際に完了したのは13事業。計画の遅れで分譲や賃貸の希望があった区画は当初の約1万4千から約1万に減り、各地で空き区画が出ている。
宮城県亘理町は200区画をを造成したが、一昨年12月時点で23区画が未契約だった。同町の担当者は「造成を待ちきれず別の場所へ移転した住民も多い。事業は思うように進んでいない」と説明する。検査院は「(所管する国土交通省に)事業規模の見直しを含め再検討すべきだ」と指摘した。
東京電力福島第一原子力発電所事故の影響を受けた畜産農家への支援事業では、独立行政法人農畜産業振興機構に交付された863億円のうち、595億円が活用されていなかった。
被災地復興のため、木材を安定的に供給する林野庁の補助金事業をめぐっては、伐採した木材を被災地ではなく海外へ輸出するなど、補助金が復興と関係が薄い事業に使われていた。全国で約97万立方メートルの木材が出荷されたが、岩手と宮城、福島の3県に渡ったのは0.9%だった。
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