駅や商業施設の女性用トイレで、和式トイレの個室だけが空いていて、幅広い世代の女性が列を作って洋式が空くのをまっている、こんな光景がよくあるそうです。「私、和式ダメなんで、お先にどうぞ」「いえ、私も」。気まずい空気が漂います。なぜ和式は敬遠される?
転倒や急病のリスクも
とはいえ、今回のアンケートで「和式に抵抗がない」と答えた人も37%いた。
和式を使う理由で最も多かったのは「便器に肌が触れない」だった。「他人様とお尻合い、になることに抵抗があるので、洋式便座にはペーパーを敷く」(神奈川、64歳女性)、「外で洋式を使う時はほとんど本能的に腰を浮かせる」(広島、54歳男性)。
和式は排泄しやすい、という人も。「和式は踏ん張れる。私には必要」(山形、49歳女性)、「力むと血管に負担なので洋式が良いという説と、日本人の腸の形は和式の方が排泄しやすいという説を耳にした。自分自身は、排泄しやすい和式がありがたい時と、洗浄便座のある洋式がありがたい時があり、悩ましい」(福岡、49歳女性)。
一方で、和式を嫌う理由は「しゃがみ続ける姿勢がつらい」がダントツだった。
「ひざがぐらつき、こけそうに。以来、洋式にこだわる」(愛媛、70歳男性)、「1年ほど前、脳梗塞で倒れた。公園を散歩中、便意に襲われ、便所に駆け込んだら和式が空いていた。用をたしたが、足腰が衰え、立ち上がれそうにない。便器も床もきたなくて手がつけない。動く方の足で何とか立ち上がれたが、以後、和式は使わなくなった」(神奈川、85歳男性)。
転倒や急病のリスクは確かに怖い。実際、「和式に抵抗はない」という回答者の間でも、「高齢者や障害者のために洋式の整備は必要」といった意見は多かった。全体の94%が、「和式が減っていくのは仕方がない」と考えていることとも矛盾しないだろう。
和式を敬遠する理由の2位は、便器や足元の汚れ。裾の長い服やサンダルを身につけている時はなおさらだ。
「職場の和式便器の周りがぬれていて腹がたつ。自分が汚していないのに、後の人に、汚した、と思われたくないから掃除して出る。なぜこんなことをしなくてはならないのか」(京都、50歳女性)
マナーが問われるのは洋式も同じ。使用後に流していない、便座に飛沫が残っていたなど、大人げない使い方をを嘆く声も少なくなかった。
驚いたのは、便秘や痔を嘆き、洗浄場便座を頼る回答の多さだった。「痔に悩まされていたが、洗浄便座を使いだして解消された」(愛知、45歳男性)、「便秘の時は水をあてると排便が促進される」(兵庫、69歳男性)。和式に洗浄便座が付けられないものか、という声も複数あった。
洋式の普及で日本人の筋力が衰えた、親は子どもに和式の使い方を教えるべきだ、お湯でお尻を洗う便器は一部の国のぜいたくだ・・・。トイレの「進化」に苦言を呈する声も少数だが寄せられた。
とはいえ、内閣府の今年3月の調査では「住宅での温水洗浄便座の普及率」が76%に上った。「ウォシュレット」を販売するTOTO広報部はこの数字を挙げ、「日本人の暮らしに根付いてきたのでは」と見る。
同社の2012年度の出荷実績で、全体に占める洋式便器の割合を見ると、高齢者施設や病院では99%以上、事務所・店舗では98%。02年度には74%だった学校でも、12年度は90%n達しているという。
同社は和式の手すりについて、目の前の壁にアルファベットのTを逆にした配置で、縦、横につけることを提案する。「横の手すりはしゃがんだ姿勢の維持に、縦の手すりは立ち上がる時に使います。雑菌が繁殖しにくい乾式清掃タイプの床面への改装もお薦めです」(広報部)
高齢化が進む日本で、公共トイレのあり方は、もっとおおっぴらに議論されていい問題ではないだろうか。
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