「体験型」充実・予約4言語対応
旅行大手各社が訪日外国人観光客の獲得を強化している。訪日客は昨年、初めて年間1千万人を突破今年も前年を3割近く上回る過去最高のペースで推移している。各社は外国人需要の取り込みが将来の大きな収益源になるとにらみ、定番の東京や京都などを巡るツアーにとどまらず、体験型ツアーなど品ぞろえの充実を図っている。
JTBは今年、昨年売り出した体験型ツアー「エクスペリエンスジャパン」のコース数を700と、当初の倍以上に拡充した。訪日客の多くを占めるアジアからのリピーター客を増やすのが狙いだ。
コース拡充に円安や東南アジア向けのビザ発給要件の緩和が相まって、7〜9月の同ツアーへの申込人数は前年同月比約8〜16倍と大幅に伸びた。特に、「アジアからの訪日客には珍しい、フルーツ狩を組み込んだコースの人気が高い」(同社)という。
近畿日本ツーリストとクラブツーリズムを傘下に持つKNTーCTホールディングスは、インターネットを通じた個人旅行の訪日客の集客を強化。同社が運営する訪日客向け宿泊予約のサイトや日帰りなどのバスツアーの予約サイトは、英語や中国語など4言語に対応させた。同社の1〜6月の訪日客向け売上高は前年同月比37%増と好調だ。
また、日本旅行は、訪日客が日本での宿泊先や観光先を自国の旅行会社を通じて予約する店に着目し、海外の旅行会社との連携に力を入れている。
訪日客が右肩上がりに増える一方、大手旅行各社の売上高全体に占める訪日客向けの割合は軒並み5%に満たない水準にとどまっており、「伸びしろが大きい」(KNT−CTホールディングス)。各社が訪日客取り込みを強化するのはこのためだ。
今年の訪日客は「下半期が、上半期(約626万人)と同程度でいけば年間1200万人に達する」(観光庁の久保成人長官)とみられている。
2020年の東京五輪の開催を控え、日本は世界から注目される旅行先となっており、各社の訪日客争奪戦は今後、ますます、熱気を帯びそうだ。
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