少子化白書
進む晩産化に警鐘
政府はさきの閣議で、平成26年版「少子化社会対策白書」を決定した。未婚率の上昇と晩産化が進行している現状を指摘し、仕事と家庭が両立できる環境実現の必要性を訴えた。
白書が挙げた国勢調査などのデータによると、25〜29歳の未婚率は22年時点で男性71.8%、女性60.3%で、30年前の昭和55年に比べて男性は16.7ポイント、女性は36.3ポイントも増加している。
晩婚化と晩産化も進行し、平成24年の平均初婚年齢は、夫30.8歳、妻29.2歳と上昇傾向。昭和55年に26.4歳だった第一子出産の平均年齢は、平成23年に初めて30歳を超え、24年に30.3歳へと上昇した。
晩産化は少子化に拍車かける。白書によると、夫婦に理想的な子供の数を尋ねたところ、平均2.42人(22年)と2人以上を望む夫婦が多かった。しかし、実際に予定する子供の数は2.07人と、「理想」を下回った。
理由としては、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」(60.4%)がもっとも多いが、妻の年齢が高くなると、この理由は減少。逆に「高年齢で産むのはいやだから」「欲しいけれどできない」という答えが増加する。若い世代は「経済力」に悩むが、35歳以上になると「年齢」が出産を阻んでいる現状がうかがえる。
年齢が上がると、産みたくても産めない「不妊」が増える。厚生労働省研究班の調べでは、不妊治療で女性が出産につながった割合は32歳までは約20%とほぼ横ばいだが、36歳ごろから急激に下がり、40歳で7.7%、45歳では0.6%になる。さらに、女性の年齢が上がるほど流産率は高くなり、妊娠中の合併症も増える。
しかし、日本では高齢になると妊娠しにくくなるなどの妊娠に関する知識が諸外国に比べて広まってはいない。白書は、妊娠や出産に関する科学的な知識を啓発、普及していく必要性にも言及。妊娠、出産に適切な時期があることを知った上で、結婚や出産などのライフステージを選択することが求められる。
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