財務省、都心で次々
「民業圧迫」批判の声
使わなくなった国有地は「更地にして売る」というのが原則だった。だが財務省は最近、条件のいい都心の土地は、積極的に再開発に乗り出し、貸したり売ったりするやり方にしている。
国有地の売却額は2000年代半ばに年3千億円超あったが、08年のリーマン・ショック後は一揆に落込み、12年度は996億円と1千億円を割り込んでしまった。不動産市状の冷え込みもあるが売れる不動産も少なくなっていた。
貴重な財産を売るだけでいいのか、という思いもある。そこに答えを出す「前例」が広島にあった。
JR広島駅の新幹線口前には6.7へクタールと広大な国有地が広がる。周辺の土地を含む13.8ヘクタールで再開発事業が進んでいる。旗振り役は、財務省の出先機関である中国財務局だ。
すでに家具量販大手「IKEA(イケア)」などのリッチが決まっている。道路を拡幅するなど土地の価格を高めた結果、売却が終わった国有地4区画は、国の予定価格を上回る134億円で落札された。
ただ、いいことばかりではない。再開発にはリスクが伴う。完成までに時間がかかり、経済状況がかわれば地価も下がるかもしれないし、予定通りの賃料収入が入らないかもしれない。
もちろん、東京・大手町という一等地なら、リスクは低い。でもそれは、本来、民間に入るはずだった不動産収入を国が吸い上げるということだ。「民業圧迫」との批判もある。財務省は「これ以上の国有地の再開発はない。限られた国有地を最大限、活用したい」(理財局)と説明している。
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