こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
国の借金はいまや1025兆円。「苦しい」財政を助けるためには、無駄遣いをやめるのはもちろん、何とか収入も増やさないといけない。でも増税は簡単ではない。そこで、使うのが知恵。「役所の中の役所」、財務省が都心の不動産で稼ごうとしている。
売ってしまえば約4千億円の一時収入。でもうまくやれば、賃料で年間115億円(金額は推計)が稼げるかもしれない。財務省の狙いは、そんなところだ。
銀行や大企業が本社を置く東京・大手町は、日本を代表するオフィス街だけあって、ぴかぴかの高層ビルが立ち並び、ビジネスパーソンが早足で動き回る。その一角に、一帯では珍しく空き地や空きビルが並ぶ場所がある。もともと、逓信総合博物館「ていぱーく」などがあった国有地だ。
国有地の敷地面積は約1万8000平方メートルで東京ドームの4割弱ほど。付近の公示価格は1平方メートルあたり2200万円で、単純計算で3960億円の価値がある。
計画では2018年、地下鉄大手町と直結した地上35階のA棟、地上32階のB棟の「ツインタワー」に生まれ変わる。事業費は1750億円にもなる。だが、この費用は、再開発事業者の独立行政法人・都市再生機構(UR都市機構)とNTT都市開発が負担する。もちろんタダだはない。完成するビルのフロアの一部を再開発事業者が受け取ることが条件だ。つまり国は、お金を使わずにビルを建て、そこから賃料収入を得られるようになる。
国有地を管理する財務省は、国に入る賃料の見通しを明らかにしていない。オフィス賃貸仲介会社によると、賃料相場は1坪あたり月3万5千円〜4万円という。国の占有面積はやく9万平方メートルなので、相場をそのままあてはめると、賃料は安く見積もっても月9.5億円になる。6年後の東京五輪に向け都心の賃料はさらに上がる可能性もあり、関東財務局の三好雅幸・審理第二課長は「賃料で財政に貢献したい」と話す。
国有地の再開発は大手町だけではない。
新宿区のJR四ツ谷駅から徒歩1分にあった国家公務員宿舎の跡地。となりの四ツ谷第三小学校跡地などと合わせた2万4千平方メートルの土地で、19年度にも高層ビルが建つ再開発の構想も持ち上がっている。港区虎ノ門でも、紙幣を刷る国立印刷局の工場だった国有地をつかい、虎ノ門病院を運営する国家公務員共済組合連合会らと組んで再開発の計画がある。工場跡地に新虎ノ門病院を移し、病院跡地にビルを建てる予定だ。
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