推進法が成立来年8月から
自己負担2割に
食事や入浴に補助が必要な高齢者をささえる介護保険制度が2000年度の創設以来初めて変わる。医療介護総合推進法が6月に成立し、15年8月から介護サービスの自己負担が1割から2割に上がる。団塊の世代の高齢化で介護費が膨らむのを抑える狙いだが、制度維持には、さらなる負担増や給付抑制が必要との指摘も多い。
安倍晋三首相は国会決議に先立つさきの答弁で、「社会保障の財政基盤の安定性を考えると、自助の精神がなければ維持できない」と強調。介護保険の利用者負担を経済力に応じて見直し、給付を効率化する改革に理解を求めた。
制度改革の柱は4つ。第一が自己負担割合の引き上げだ。制度ができて以来ずっと一律1割だっが、15年8月からは年間の年金収入が単身で280万円以上の人を2割負担とする。夫と妻のモデル世帯では「年収359万円以上」に相当する。高齢者全体の約20%で、介護を受ける際の負担が増える。自宅から車で送迎してもらい、施設で入浴や体操するデイサービスを週3回、受ける場合、利用者の支払額は1万円から2万円にに増える。在宅生活が難しい高齢者を受け入れ、食事、トイレ、入浴まであらゆる世話をする特別養護老人ホームの施設利用料も、月2万8000円から介護サービス上限の3万7200円に上がる。
第2に、特養ホームほか、在宅復帰を目指し、リハビリのため一時的に滞在する介護老人保健施設の入所する人の食事代や部屋代の補助を縮小する。現在は世帯で住民税非課税といった「低所得」の条件を満たせば、補助が出る仕組みだが、15年8月から、単身で1千万超の貯金を持つ人への補助はなくす。
第3と第4のの柱はサービスの中身の見直しだ。
15年4月から障害や認知症の場合を除き、特養ホームに入ることのできる人を「要介護3〜5」と重度認定された人に限る。「同1,2」と軽度の場合、新たな入所はできなくなる。
より軽度の「要支援2」「同1」の高齢者が要介護にならないように運動指導するといった予防サービスの一部を国から市町村の事業に移す。国が決めたサービスの中身や価格では費用が高止まりするので、市町村がボランティアやNPO、企業に委託する仕組みを導入し、効率化する。
セントラルスポーツは「介護予防教室」の受託件数を14年度中に現在より3割多く500件弱にすることを目指す。コナミスポーツ&ライフ(東京・品川)は独自の介護予防プログラムを開発し、自治体や介護施設向けに販売を始めた。
厚生労働省によれば、今回の改正で、15〜17年度の平均で年1430億円の給付費が削減できる。だが、給付費総額は今の10兆円から25年度には約20兆円への倍増が見込まれる。負担増と給付の抑制をさらに徹底することが避けられない。
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