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2014.07.23更新

飲食、宿泊、医療・介護
政府、生産性引き上げ策

京大院に専門課程

政府は飲食、宿泊、医療・介護などサービス産業の生産性を高めるため、経営者から現場で働く人までを対象に専門教育を通じた人材育成に乗り出す。2014年度から5年間で全国50大学に専門の学部・学科を設置する目標を設定。京都大学の大学院などにサービス業に特化した経営学コースを18年度に新設する。近く閣議決定する新成長戦略に盛り込む。

 12年時点でサービス業は日本の国内総生産(GDP)の約6割を占め、年々拡大している。だが、サービス業の労働や資本の効率性を示す全要素生産性は1970年時点の1・5倍と、同3倍に伸びた製造業と比べて低迷している。
 新しいサービスを生み出すIT(情報技術)の使い方や最新の経営手法を学んだ経営者が少ないことも、生産性の低さの背景にある。個人経営者の比率は飲食・宿泊業で6割超。映画館など娯楽業と生活関連サービスは7割弱だ。サービス業の大半は中小企業で、経営者の多くは現場で働きながら経営のイロハを身につけた。
 米欧などではサービス業の経営学を学べる場が多い。米コーネル大学にはホテル経営学部がある。外食産業界のハーバード大ともいわれるカナリー・インスティテュートや流通部門の経営学で名高い英オックスフォード大学院が有名だ。
 政府は日本にサービス産業の専門教育の場が少ないことに着目した。大学院、大学、専門学校の3段階でサービス業に特化した学習過程をつくる取り組みを支援する。8月末に締め切る15年度予算の概算要求に関連予算を盛り込む。
 例えば、京都大の大学院に18年度から設けるサービス業の経営学コースの修了者には「サービス経営学修士」の学位を授与する。一橋大の大学院にも同様のコースを置くことを検討している。美容ビジネスが専門のハリウッド大学院大学(東京・港)は「おもてなし」と公卿経営を学ぶコースを15年度に開く。
 経済産業省は7月にも京都大学とサービス業に携わる民間企業約10社などを集めた産学官の協議会を開き、科目や教材など具体策の検討に入る。必要な教員は民間企業からも募る。政府の補助金に加え、民間企業が資金面で学校を支える仕組みも検討していく。
 50大学へのサービス業専門の学部・学科の設置は、都道府県ごとに最低1校が目安。管理職になる人材の層を厚くするのが目的だ。先行例として政府が参考にするのは、千葉商科大学(千葉県市川市)のサービス創造学部だ。サービス業に特化した経営学や財務会計、ITを学ぶことができ、就職率は99%に上る。
 サービス業関係の専門学校では、5年間で生徒数を倍増させる目標を掲げる。医療・介護や飲食、宿泊業の専門コースを増やす。働きながら学びなおせる環境を整える。
 高齢化が進み、医療や介護サービスを使う人が増えている。20年の東京五輪を控えて多くの外国人観光客が来日すれば、飲食や宿泊業の需要拡大も見込まれる。サービスの質を落とさず事業を維持するには生産性と収益力の向上が欠かせない。

投稿者: 松村税務会計事務所

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