関電・九電、やっと余裕
原発が再稼動しなくても、今夏のもっとも電力が必要な日を乗り切れるとの見通しが先日、経済産業省の委員会で報告された.
関西電力と九州集電力が、東日本から電力を融通してもらうことを、見通しの段階で初めて織り込んだ。政府は2年連続で、省エネの数値目標付きの節電要請を見送る可能性が高い。
経産省の電力需給検証小委員会で電力9社(原発がない沖縄電力を除く)が報告した。電力を供給する余裕(予備率)は、最高が北海道電力の9・2%、最低が関電、九電の3・0%。平均は4・6%と昨年夏に比べ1・6ポイントも下がったが、原発が1基も再稼動されていなくても、最低必要とされている「3%」は確保される見通しとなった。
関電は、昨夏は稼動していた大飯原発3、4号機(福井県)の再稼動の見通しが立たない。九電はあてにしていた(電源開発)の火力発電所(長崎県松浦市、出力100万キロワット)が定期検査中の3月末に事故を起こし、この夏の電力として見込めなくなった。
このため、関電と九電は比較的ゆとりのある東京電力から電力融通を受けることを初めて見通しに織り込み、ぎりぎりの3.0%に乗せた。東西融通がなければ、関電の予備率は1.8%、九電は1.3%にとどまるという。
周波数の違う東日本(50ヘルツ)と西日本(60ヘルツ)の電力融通を、見通し段階で含めていなかったのは、事故による発電所の停止など不測の事態に備えて余裕を持たせてきたからだ。
電力会社にとっては、電気を送る効率を落とすデメリットもあり、積極的にとりたくない手法だった。しかし、原子力委員会の安全審査の状況をみると、九電の川内原発以外は再稼動の見通しがたっておらず、少なくとも今夏の電力ピークに原発再稼動はあてにできない。背に腹はかえられない事情がある。
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