こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
賞味期限切れの食品を捨てる食品廃棄が問題となる中、素材メーカー各社が賞味期限を延ばせる新型容器を相次ぎ商品化している。クラレは食品の鮮度を約3倍長く保てる樹脂フィルムで弁当向けなどの用途を開拓。東洋製缶グループホールディングスは金属缶並みに長期保存ができるプラスチック容器を開発した。購入した食品をよりおいしく安心して食べられるようになり消費者の利便性が高まりそうだ。
クラレ〜3倍長く鮮度維持
東洋製缶〜プラ缶詰で3年間
クラレは酸素の遮断性に優れた高機能樹脂フィルム「エバール」で、賞味期限が比較的短い惣菜や弁当容器向けの用途を開拓する。エバールは酸素の遮断性が他の樹脂製品と比べて約7千倍。容器の外部から入る酸素を遮断することで、食品の劣化を防ぐ効果が高い。果物の容器で実証実験したところ、鮮度を3倍以上長持ちできた。
消費者にとっては食品を購入後、高い鮮度で味わえる期間が長くなるメリットがある。冷蔵庫に保管しても安心して食べられる。
スーパーの店頭では売れ残った弁当やポテトサラダなどの惣菜を、作った当日夜に廃棄する例も多い。容器を替えることで鮮度を長持ちできれば廃棄の頻度や量は減る。店舗にとってはコスト削減につながるため、グラレは潜在需要が大きいとみている。
このほど営業の専門組織を立ち上げた。これまでは自動車のガソリンタンクやカップ麺の包装容器などを中心に使用されてきたが、単身世帯の増加などで消費量が拡大している惣菜・弁当容器への利用拡大を狙う。惣菜・弁当向けで3年後に現在の約3倍の年1億個分の導入を目指す。
東洋製缶グループホールディングスは、金属缶と同様に長期間の保存が可能なプラスチック製容器を開発した。内面にアルミ箔や特殊フィルムを多層コーティングして、賞味期限を金属缶同様の3年まで高めた。プラスチック製のの賞味期限はこれまで数ヵ月程度だったという。
高級スーパーの明治屋(東京・中央)はプライベートブランド(PB)のコンビーフなどで採用している。金属缶に比べ重量が4分の1に軽くなるほか、ふたも密封シールのため「お年寄りでも開けやすくなる」(明治屋)など好評だ。
日本製紙は常温で数ヵ月間保存できるリサイクル可能な飲料向け紙パックを開発した。常温保存の紙パックは従来、内部に光の透過などを防ぐアルミ箔を使い、紙だけでは数日間しか日持ちしない。同社は品質劣化を防ぐフィルムを使用。アルミ箔を使わないことでリサイクルも可能にした。
伊藤園が3月に発売した野菜飲料「充実野菜」で採用され、すでに約10社の飲料メーカーから問い合わせが来ているという。
国民生活産業・消費者団体連合会が昨年11月実施した消費者調査によると、賞味期限を過ぎた食品を飲食したくないという回答は42%あった。食品廃棄については約45%が「国民全体で取り組むべき問題だ」と回答。賞味期限に対して敏感な一方で、廃棄はもったいないとの意識が強く、こうした消費者ニーズが素材メーカーを動かしている。
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