こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
大手旅行会社が団塊世代向けの海外旅行商品を増やしている。これまでの短い日程で観光地を巡るのではなく、時間に余裕を持たせたり、なかなか行けない秘境などを盛り込んだりしたのが特徴だ。団塊世代が65歳になり、仕事から退き始めたのが2012年。これまでも団塊世代向け旅行を扱ってきたが、好みを把握できたこともあり、内容を進化させている。
日本旅行は今月、団塊世代を中心としたシニア向け旅行商品3種類を順次立ち上げる。「いつか行ってみたかった旅がある・・・」のほか、「65歳以上の方にお薦め特選海外旅行、悠遊紀行アジア」などを一気に投入する。
これらの商品に共通するのが「秘境」と「時間に余裕を持たせた」点だ。「いつか行ってみたかった_」では南米のギアナ高地やユーラシア大陸の鉄道横断、アラスカでのサーモンフィッシングなど10コースを販売する。これまで多かった美術館や古城など有名観光地を巡るツアーを改めた。
「かつてのシニア層と好みが違う」。海外旅行事業部の西川隆祥部長はこう分析する。団塊世代にとって海外旅行はバブル期以降に親しんでおり、特別なイベントではない。観光地を足早に見て回るのではなく、興味のある場所や行きたい場所をゆったり巡る。
これまでの旅行日程は、欧米だと8日間が一般的だったが、新商品では10〜13日間と長めに設定した。
団塊世代向けの商品はこれまでも取り扱ってきた。だが普通の商品をシニア向けに自由時間を多めに割く程度だった。団塊世代の大量退職から数年が過ぎ、傾向がつかめたことで反映した商品を拡充する。日本旅行では50歳以上の旅行者数の割合が11年は30%台前半だったが、13年は38%に上昇している。14年は40%まで引き上げる。
全日本空輸の旅行子会社ANAセールス(東京・港)は1月から新商品「大人のゆとり旅、ヨーロッパ」を販売した。観光地で過ごす時間は従来のツアーの2倍。英国やクロアチア縦断など29コースを用意した。
ゆとり旅の発案元となったのが、12年末に発売した「ワンダーアース」だった。パプアニューギニアの部族の祭典への参加などを企画した。旅慣れた人の参加を想定していたが、実際は平均年齢は65歳。団塊世代の多くは秘境などへの関心が高いとみて、ゆとり旅に企画を盛り込んだ。
シニア向け海外旅行のJTBグランドツアー&サービス(東京・渋谷)では14年度上期の商品数を225コースと5割増やした。下期も3割増やす方針だ。
団塊世代の大量退職に合わせて、これまでも商品を用意してきた。ただ団塊世代をひとくくりにとらえていたという。その反省に立って商品に多様性を持たせることが重要として、商品数を大幅に増やした。
若者の海外旅行離れが指摘され、旅行市場の先行きが懸念されるなか、団塊世代は重要な鉱脈となる。団塊世代の取り込みへ旅行会社の知恵が試される。
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