カプセル型、体内で治療
日本のロボット業界が新市場の開拓に動いている。これまでは自動車の溶接用など産業用ロボットが中心だったが、今後は医療や災害救助など幅広い分野で用途が広がる。日の丸ロボは世界で飛躍できるのか。
金型技術強みに
口から飲み込むカプセル型内視鏡を世界で初めて開発したイスラエルのギブン・イメージング社。腸などの内部を撮影し画像を送信する。日本を含めて世界で200万人以上が利用した。昨年12月、医療機器世界大手の米コヴィディンが約900億円で買収を決めた。ただ、この分野で世界を驚かす新技術が日本で生まれつつある。
先ごろ都内で科学技術振興機構による次世代医療機器技術の説明会が開かれた。電機大手の参加者から注目されたのが九州工業大学が発表した「自走式カプセル内視鏡」。小指の先の大きさのミニロボだ。九工大で超小型ロボを研究する伊藤高弘教授は「共同開発の話が相次ぎ舞いこんでいる」と語る。
ミニロボは無線でカプセルの電磁石を振動させ移動が可能。従来型は便とともに出てくるのに10時間程度。ミニロボなら1時間だ。画期的なのは小型アームをだして生体組織を採取したり必要な場所で蓋をあけて薬剤を投与したりできる技術にメドをつけていることだ。共同開発するワークス(福岡県遠賀町)の金型の精密加工技術を生かした。豚の腸での実験に成功。2016年にも臨床実験にはいり国内企業と組んで世界に売り込む。
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