東日本大震災から3年を過ぎた被災地で、ホテルの開業が相次いでいる。災害公営住宅など住宅再建が本格化するのに合わせ、工事関係者や復興関係のビジネスマンなどの長期滞在需要を取り込む。低コストで建設でき、宿泊料金も安いホテルが目立つ。
宮城県や岩手県など津波の被害を受けた地域では、2013年以降に少なくとも10のホテルがオープンする計画がある。日本旅館協会の担当者は「(ホテルは)工事関係者を取り込んでいる宮城県気仙沼市を中心に急増している印象」と話す。
大阪の不動産業者エンシン(大阪市)は3月、気仙沼市に長期滞在型のホテルを開いた。48室の部屋はすべてシングルで一泊5700円。担当者は「住宅建設が本格化する。最低5年は宿泊需要が続く」とみる。
工事を担当した建設会社は建物の大半をタイ工場で製造し現地で組み立てる
モジュール工法を採用。工期は約2ヶ月と短く、コストも一般工法より1〜2割圧縮できる。人手不足や建設費高騰の影響を受けにくい。
気仙沼はホテル運営企業の関心が特に高い地域だ。仙台や盛岡から遠く、一定の宿泊需要が見込める。昨秋に大和ハウス工業が開業したホテルは建設会社が長期間借り上げ連日ほぼ満室だ。
ビジネスホテルも被災地に向かう。ルートインジャパン(東京・品川)は今年13ヵ所の新規出店を計画するが、うち岩手、宮城、福島の3県で8ヵ所を占める。藤田観光は昨年末、仙台市の中心部に「仙台ワシントンホテル」を開業。2月は稼働率が8割を超えた。
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