読売新聞社が行った全国世論調査で、現在の「6・3・3制」を維持すべきだと考える人が6割を越え、高校の義務教育化に賛成する人は4割強にとどまることがわかった。政府の教育再生実行委員会は、各地域で柔軟に学制を選択できるようにする案を検討中だが、一般の関心は低く、現状維持を求める人が多いようだ。
高校の義務教育化賛成4割
調査は1月18〜19日に面談方式で実施し、1522人から回答を得た。6・3・3制につぃての考えは、「続ける」が63%に上がり、「全国一律で新しい制度に変える」は20%、「地域ごとに制度を柔軟に選べるようにする」は9%だった。
義務教育の開始年齢については、「今まで通り6歳から始める」が66%で最多。「5歳にして小学校への入学も早める」(16%)、「5歳にして幼稚園や保育所の一年を義務教育にする」(13%)を合わせても3割にとどまった。
高校については、「今まで通り義務教育にしない方がよい」(28%)、「義務教育にはしないが、公立高校の授業料は無料にする方がよい」(24%)をあわせると半数を上回った。「義務教育にして公立高校の授業料は無料にするほうが良い」は44%だった。
日本が戦後手本にした米国の学制は、1970〜80年代に6・3・3制から5・3・4制などへの転換が進み、各地で学制が異なる。再生実行会議では、小学校4年、中学校4年、高校4年の「4・4・4」制などを地域ごとに運用できるようにする案を検討している。
学制に詳しい安彦忠彦・神奈川大特別招聘教授は、「地方分権が進んでいない日本では、学校制度を自分たちで変えるという発想がでてきにくい。小中一貫教育など、各地の先進的な取り組みを広めていくべきだ」と指摘する。
無藤隆・白梅学園大教授も、「現状維持の回答が多いのは、学制改革の議論が広がっていないため」とみる。「中学の3年間は短すぎるという指摘もあり、9年制の小中一貫校を作るなど、地域や今の子どもの発達に合わせた柔軟な仕組みがあってもよい。義務教育年限の見直しは財政的な課題もあるが、国民レベルで活発に議論し、考えていく必要がある」と話した。
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