外食業界「浸透している商品名で」
偽装問題、ガイドライン案巡り〜
レストランなどで広がった食材の偽装表示問題を受け、消費者庁が昨年12月に公表した適性表示のガイドライン案に議論が百出している。例えば「サーモントラウト」を「サーモン」と表示すべきではないとの指摘について、外食産業が「既に浸透している」と反発する一方、消費者団体は「正確な名称を表示すべきだ」と主張。消費者庁はこれらの意見も踏まえたうえで正式に決めるが、「何が適正か」をめぐって業界の試行錯誤が続きそうだ。
消費者庁はガイドライン案で、景品表示法に抵触する事実を示している。たとえば、成形肉や牛脂注入肉をステーキ、サーモントラウトをサケ、ロブスターを伊勢エビ、ホイップクリームを生クリーム_と表示すると「問題」としている。
サーモントラウトの標準和名は「ニジマス」のため「問題がある」とした。だが外食産業界では、サーモントラウトが原料でも「スモークサーモン」と表記したり、切り身を焼いて「サケ弁当」としたりするケースは多い。外食企業の代表や学者らが参加する「食の安全・安心財団」の中村啓一事務局長は「サーモントラウトは既にサーモンとして広く定着しており許容の範囲内。消費者の混乱も避けたい」と話し、「業界の自主的な取り組みを見守ってほしい」と主張する。
居酒屋チェーンを展開するコロワイドは「鮮魚の盛り合わせ」を「刺身の盛り合わせ」に変更。ロイヤルホストを展開するロイヤルホールディングスは、外部機関にメニューのチェックを依頼するなど、自主的な取り組みを進める。
一方、主婦連合会の佐野真理子事務局長は「実際に何を食べているのかを知りたい。違う名前でメニューに表記するのはおかしい」と主張。違反行為に対する課徴金制度の導入など規制強化も求めている。
消費者庁は早期のガイドラインの策定を目指しており、「さまざまな意見を精査し、適切なものにしたい」(表示対策課)としている。
問題があると指摘した表示
消費者庁が作成した食品ガイドライン案(2013年12月19日)
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