東南アジアから
独立行政法人・日本政府観光局が今月17日発表した昨年の来日外国人旅行者は約1036万人。人口の6割がイスラム教徒のマレーシアは約17万6500人、9割のインドネシアは約13万6800人で、いずれも2011年比で倍以上になるなど、東南アジアからの伸びが目立つ。
イスラム教徒に配慮する動きはほかにもある。成田空港は夏までにイスラム礼拝所を現在の2か所から4か所に増やす。「ホテルスプリングス幕張」(千葉市)は今月、イスラムの教義に忠実に対応するため、一般用と別の調理場を設けた。ハラール食品も増えており、ハラル・ジャパン協会」(東京都豊島区)は毎月、企業が開発中の食品をイスラム教徒が試食するイベントを開いている。
五輪へ態勢強化
問題は、正しい理解が進んでいないことだ。宗教法人「日本ムスリム協会」(渋谷区)によると、豚肉を調理した器具を使い回したり、アリコール由来のみりんを使ったりしているのにハラール食品として売ってとみられるところがある。
また、ハラール認証を行う「日本アジアハラール協会」によると、日本では同様の認証団体が少なくとも30〜40あり、増加傾向にあるが、中にはイスラム法にのっとらない簡単な審査で済ませ、手数料稼ぎが目的としか思えない団体もあるという。同協会のサイド・アクター理事は、「いいかげんな認証が増えると、厳格な認証を受けた商品も売れなくなり、日本の信用問題にもつながる」と指摘する。
イスラム教徒の受け入れ態勢を強化しようと、東京都は、14年度予算原案に2000万円を計上した。啓発パンフレットをホテルや飲食店に配ったり、セニナーを開いたりする。担当者は「五輪に向けて、イスラム教徒にも満足してもらい、リピーターになってほしい」と話している。
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