所長ブログ

tel_sp.png
メールでのお問い合わせ

2014.03.11更新

 子育て経験現場に生かす

子供服「ミキハウス」の三起商行(大阪府八尾市、木村皓一社長)が、退職した女性社員らの戦力化を進めている。結婚や出産などで辞めた社員を再雇用し、店舗などに配置する。子育てや過去の営業の経験を若手社員の教育や商品開発、接客などに生かす狙いだ。
 赤ちゃんと少し大きくなった子どもの二人を連れて来店した顧客。元店長で最近、再雇用された女性社員が「あら、お久しぶりです」と話しかけると、「2人目の子どもにも、お宅の商品を着せたくて。あなたがいれば安心」と笑顔を見せ、女性店員の薦めるベビー服を購入した。ミキハウスの店舗ではこんなシーンがよくあると宮本周人事部長は話す。
 「自分の出産や子育ての経験を仕事のキャリアとして活用してほしい」_三起商行がこんな呼びかけで20年ほど前にはじめた「OB,OG社員」は140人(男性1人、女性139人)と社員全体の2割を占めるまでになった。今ではこの制度を知って入社する女子学生もいるほどだ。
 同社にも産休や育休はあるが、保育所が見つからなかったり、配偶者の転勤で退職を余儀なくされたりするケースがある。一方、社員の子育て経験は子供服を販売する同社にとって貴重な財産だ。1971年に創業して10年後には退職社員の復帰を促すようになり、90年代にOB,OG社員が制度として定着した。
 仕組みはこうだ。子育てが終わり、再雇用を望む退職社員の申し込みは随時受け付ける。こうした人材を人事部を経由で人手が不足している店舗にあっせん、店長と退職社員が面談する。ブランクが長い場合は人事部が先に会うこともあるが、新入社員向けの研修などは基本的にない。
 店長との面談で、出勤日や勤務時間などの条件が折り合えば採用がきまる。給与は退職前の年数や役職によるが、時間給が基本だ。契約期間は1年で自動更新する。
 140人のOB,OG社員のうち、間接部門は10人ほどで残りは店舗での販売業務だ。午前11時から午後4時まで勤務し、土日曜日は半分は出勤という人が多い。「本人のライフスタイルにあわせて働けるようにしている」(宮本部長)
 「MHリンク」というOB,OGの会員制クラブも再雇用の拡大に一役買っている。メンバーは商品の割引や社内報の送付などうサービスが得られる。この中で募集することもある。
 子育ての経験者を対象に「子育てキァリアアドバイザー」という社内資格も設けている。資格保有者は賞与などで優遇し、同社の新生児〜1歳向けブランド「ミキハウスファースト」の売り場に優先的に配置する。店舗には必ず子育て経験者がいた方がいいとの判断から、同アドバイザーは全国の200店全店に1人以上配置している。
 一線で再び活動することになったOB,OG社員は、経験がある分、存在感を示す人も多いという。子育てをしていた時に感じた思いや顧客の立場、目線を生かし、接客から商品戦略、若手社員の教育まで幅広い分野で自分の経験を伝える。
「昔の顧客のつなぎとめや若い社員への助言などで重要な戦力」(宮本部長)となっている。
 9歳頃までなど6つのブランドを展開する同社が現在、最も力を注ぐのが妊婦を主な顧客とするミキハウスファーストだ。子どもの成長とともに固定客として来店する可能性があるうえ、シニア世代が娘の初出産で贈答用に購入するケースが多いからだ。その意味でもOB,OG社員が活躍する舞台が広がりそうだ。

投稿者: 松村税務会計事務所

HOME
メールでのお問い合わせ 営業時間 9:00~17:30 定休日 土日・祝日 土日・祝日時間外予約可