湯船に暮らしが映る
寄せられた入浴スタイルや思い出話からは、暮らしや人生が浮かび上がる。
まずはリラックス。
ひのきのボール、ハーブ、温泉のもとなど入浴剤に凝る人は多い。冬至にゆず湯は欠かせないという人も。ほかにも、ラジオを聴いたり、本や新聞を読んだり。「マッサージグッズは必需品。吸盤付きつぼ押しが使いやすい」(広島、43歳女性)、「ろうそくの明かりで入ると落ち着きます」(新潟、53歳女性)。
子供の頃、遊んだ思い出も。
「手ぬぐいで空気を集めて膨らませ、お湯に入れて泡を出すのが好きでした」(群馬、39歳女性)。せっけん箱のふたを、せっけんを塗ったタオルで覆い「ふちを吹いて父とシャボン玉を作った」(神奈川、63歳男性)。「水風呂がプール代わり。潜り競争もした」(茨城、40歳女性)。
おじいちゃんは孫とふれあう。大阪府の男性(62)は水鉄砲などを準備して、うきうきしながら帰省を待つ。神奈川県の男性(76)も湯船に動物のおもちゃをたくさん浮かべて孫2人を誘い、「長湯が楽しみだ」。
子育てに忙しいお母さんは「生後4ヵ月の息子がいるので毎日がカラスの行水」(東京、33歳女性)。「子供が小さい頃は、自分が体を洗うのもそこそこに3人をお風呂に入れていた。大きくなって、1人で入浴できた時はほんとうにうれしかった」(東京、57歳女性)。
歳を重ねた夫婦が改めて相手を思い合う場でもある。
「夫は脳梗塞で倒れて以来、シャワーだけですませています。本人は不満はないと言いますが、いつか温泉でゆっくりと浴槽に入れてあげたい」(東京、63歳女性)。
京都府の男性(83)は体が不自由な妻と一緒だ。
「混浴というとロマンチックだが、じいさんばあさんで、手取り足取りの介護では風情もなにもあったものではない。浴槽の内外に椅子を置き、ゆっくりと入浴させ、洗う。妻には若い頃から苦労の掛けっ放しなので、これから出来るだけ世話をしてやりたい」
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