こんにちは、北区王子の税理士松村憲です。
調査会社の矢野研究所(東京・中野)によると、国内の加工食品市場は09年から30兆円を割り込み、毎年1%前後の縮小が続く。一方、国勢調査によると、全世帯に占める単身世帯の割合は10年に初めて3割を超えた。国立社会保障・人口問題研究所の推計35年に37.2%まで高まる見通しだ。
一人暮らしのシニアなどがさらに増えると見られる中、日々の飲食でより適量で簡便な商品の需要が高まる可能性は高い。各社は商品の充実を競うことになりそうだ。
包装かさみ利益率低く
生産効率や販路開拓、課題
シニアや単身世帯、食事をとる時間が異なる家族の増加などを背景に、一人前に小分けした商品が増え始めた。日清フーズの一人前冷凍パスタは、電子レンジで温めるだけで本格的な味わいが楽しめる手軽さが受け、売れ行きは2桁の伸びだ。
ただ、個食対応の商品の生産には新たな設備が必要になったり原価に占める包装資材の割合が上がったりすることで利益率が低くなりやすい。商品も割高になりがちだ。
エバラ食品工業は一人前ずつ包装した鍋つゆの発売にあたり、自社に生産設備がないため、外部の工場に生産を委託。参考小売価格は6個入りで従来の3~4人前と同程度に設定したものの「利益率は低い」と打ち明ける。個食の需要があるとわかっても各社がこれまで急拡大しなかったのにはこうした背景がある。
結局、生産コストを下げるには一定の販売量の確保が不可欠だ。それには「割高でも無駄なく使いきれるなどの価値を消費者が認める商品」(食品メーカーに詳しいアナリスト)の開発とともに、コンビニエンスストアなど身近な販路の開拓が重要だ。コンビニはシニアの利用が約2割を占める。商品力とともに買い求めやすさの両立が課題になりそうだ。
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