社会貢献債、高まる関心
途上国の支援などのために発行される「社会貢献型債権」の市場が広がっている。投資したお金が様々な問題の解決に役に立つうえ、一定のリスクはあっても比較的高い利回りを期待できる。今年の発行額は9月末までで昨年を上回り、債権の種類も多様になってきた。
社会貢献型債権は、世界銀行などの国際金融機関や政府系機関が発行する場合が多く、ほとんどが新興国や資源国の通貨建てだ。集めた資金を利回りの高い新興国の債権で運用することから利回りが比較的高く、利率が年8%を超える商品もある。
円高が進めば償還時に元本割れになる恐れがあるが、債権の発行期間は信用力が高く、債務不履行になる可能性は低い。
「投資と社会貢献を両立できる天が魅力」(野村證券の田中沙居氏)で、債権は証券会社で100万円前後から購入できる。
国内で最初の個人向け社会貢献型債権は、途上国の子どもに予防接種を提供するための「ワクチン債」だ。予防接種の普及活動を行う国際組織が発行し、大和証券グループ本社が2008年に発売した。国内の社会貢献型債権の発行額は東日本大震災が起きた11年に落ち込んだが、12年から上向きに転じ、13年は9月末までで約1313億円となっている。大和証券の池上沙矢香氏は「若い世代の関心が高まっている」と指摘する。
債権の目的はワクチン提供や環境対策が多かったが、最近は途上国の教育支援や水問題の解決などに広がってきた。また、政府系だけでなく、民間金融機関が発行することも増えている。
国内では、国際協力機構(JICA)が2年前からアジアのインフラ開発などを目的に円建てで「JAICA債」を出しており、今年も12月に100億円程度を発行する予定だ。
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