イスゆったりくつろげる売り場に
幅広い年齢層を取り込んできた百貨店が、シニア層に目をむけ始めている。松坂屋上野店(東京都台東区)は、主な顧客を60歳前後に想定した店作りを始めた。買い物客の高齢化が進むなか、百貨店の「シニア獲得作戦」が熱を帯びている。
松坂屋上野店が改装
松坂屋上野店で、改装した婦人服売り場の営業が始まった。売り場にはゆったりすわれるテーブル付きのいすを約10人分設置。お茶やコーヒーを無料で提供する。店員と会話を交わしながら、くつろげる空間を目指したという。
母(82)と2人で買い物に来た台東区東上野2丁目の主婦、杉山敦子さん(59)は祖母から娘まで4世代で通う常連客。いすに座ってお茶を飲みながら、「広くなって開放的な雰囲気。買い物で歩き回ると疲れるので、ゆっくり休める場所があるのはうれしい」と話した。
同店は今月、年金や保険の相談から、電球交換といった「家事代行サービス」までを受け付ける相談窓口を設置。また、百貨店で「売り場の華」とされてきた中2階に、婦人靴に代えて健康食品や介護用品を置くなど、来年3月にかけて、店全体をシニア向けに改装する。
大胆な転換の背景には、同店の客の7割以上がシニア層という現状がある。売り上げ比率では、50代が約18%、60代が約28%、70代が約25%を占めている。
小宅祥広・営業推進部長(53)は「顧客の高齢化が進んでいる。これは百貨店の仕事じゃない、と切り捨てず、シニアの生活全てに対応し、他店と差別化を図りたい」と話す。
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