原料高で採算難しく
こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
居酒屋王手が料理や酒類を一律290円などの低価格で提供する「均一価格店」から相次ぎ撤退する。先駆けだった「金の蔵ジュニア」の三光マーケティングフーズは年内に全店で均一の看板を下ろし、ワタミも出店戦略を見直す。リーマン・ショック後に店舗網が広がったが、円安による食材調達コストの上昇や景況感の回復などで消費者離れが進み、店舗運営が難しくなっていた。
金の蔵やワタミ
三光マーケは2009年に金の蔵ジュニアの多店舗展開にのりだした。
立地にあわせ270円、280円、299円で料理や酒類を提供してきたが、ピーク時に約100店あった店舗網は82店に減っていた。「円安による食材調達コストの上昇もあり、低価格で魅力的なメニューを出すのは難しくなってきた」(三光マーケ)と判断。年内に「270」などと書き込んだ看板をすべて掛け替える。今後は600円以上のピザや700円以上の手羽先料理などをメニューに加える。
低価格を売り物にした均一店はリーマン・ショック後の09年に居酒屋各社が一斉に参入した。当時は牛丼チェーンが牛丼の並盛りを一杯300円台後半から200円台に値下げした時期。消費者の節約志向を取り込み成長してきたが、均一価格にこだわったため品ぞろえが広げられず、サービスの質も思うように上げられなかった。
コロワイドは今春、290円居酒屋「うまいもん酒場 えこひいき」で均一価格を中止。「お刺身3種盛り合わせ」(税込み733円)など幅広いメニューで集客する。チムニーが運営する「王道」も196円などの均一価格をやめ、600円以上のメニューをそろえる戦略に転換した。
日本フードサービス協会によると、パブレストラン・居酒屋の売上高(全店ベース)は12年まで4年連続で前年実績を下回っている。居酒屋大手の苦戦は続いているが、景気回復ムードを追い風に価格帯が高めのチェ-ンでは健闘する例も出ている。
エー・ピーカンパニーが展開する「塚田農場」は1人当たりの支払額が約4000円と居酒屋チェーンとしては高めの設定だが、6月まで既存店売り上高は前年同期比で3ヵ月連続でプラス。自社の養鶏場で育てた地鶏料理。が人気だ。
ワタミは低価格居酒屋の出店戦略を見直す。当初は年に5店舗程度出す予定だった250円メニューが9割を占める「仰天酒場 和っしょい」の全4店を今春までに閉店。その一方で食材の品質にこだわった「旨(うま)い屋」の展開に新たに取り組む。
仰天酒場では人件費を抑えるため「顧客がテーブル注文し、プリペイドカードで決済するサービス方法が不評で安さの価値が伝わらなかった」と判断。同じ低価格でも通常の居酒屋の原価率が2割超のところ3割超に引き上げた「旨い屋」を来年3月までに25店出し、5年で100店に広げる計画だ。
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