こんにちは北区王子の税理士松村憲です。
かつて世界の自動車産業の中心として栄え、今も米国自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)が本社を置くミシガン州デトロイト市が財政破綻し、米国連峰破産法9章に基ずく構成手続きを申請した。負債は180億ドル(一兆8000億円)を超え、米自治体ではこれまで最大となる。職員の年金など市の債務は不履行(デフォルト)となり、一部は返済されない見通し。過去半世紀で人口が約3分の1に減り、税収が落ち込んだことが米主要都市の破綻という異例の事態につながった。
ミシガン州のスナイダー知事は今年3月、デトロイト市が財政上の緊急事態に陥ったと表明した。財政再建を進める緊急管理人を任命した。6月中旬に、市の退職者の年金給付額を減額し、市の借金である債権の償還額を額面の0.1%以下にする措置を柱とする計画を提示した。手元資金を確保するため、予定していた債務の返済も一部見送り、労働組合や債権者らとの交渉を続けていた。
しかし、年金の減額には反発が強く、年金基金側が訴訟を起こすなど、交渉は難航していた。スナイダー知事は、裁判所に提出した資料で「債権者と合意出来ず、市の債権には破産しかない」と述べた。
デトロイトの人口は1950年には185万人に達していたが、2012年に68万人に減少した。自動車産業の低迷で失業率が上昇し、09年にはGMが経営破綻した。治安の悪化や高い税率が人口流出を招き、税収が落ち込む悪循環が続いていた。負債は市の運営費や退職者の年金支払いなどで積み上がった。負債総額約180億ドルの半分は、退職者の年金や医療保険支払いのための借金が占める。
既に慢性的な財政難から市内の街灯の4割が故障し、パトカーや消防車の老朽化も進むなど市民生活へ影響も出ている。
米自動車産業が拠点を置くデトロイト市の破綻は米国内に衝撃を与えている。「今後は米国内の産業を守るための保護主義的な動きが強まり、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉でも緊密に連携していく」と述べた。今のところ破綻の影響は同市の関係者や取引先にとどまり、市に対して債権を持つ金融機関の経営を揺るがすといった米経済全体への影響は必ずしも大きくないとみられる。
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