集団受講に利点とリスク
法務省は、新制度で保護観察対象者は年間3千人ほど増えるとみる。それをにらんだ試みが官民で進む。
静かな住宅街。4階建ての建物に、薬物使用などで服役し、出所した女性19人が暮らす。住居がない人に自立までの一定期間、無償で食事と部屋を提供する民間施設「両全会」(東京都渋谷区)。全国に約100カ所ある「更生保護施設」の一つだ。同会は昨年9月、カウンセリングで薬物依存からの脱却を目指す独自のプログラムを始めた。
臨床心理士と定期的に面談し、グループで話し合い、薬物を使いたいという欲求と向き合う方法を学ぶ。覚醒剤の使用経験がある入居者の女性(38)は「がむしゃらに働いて息切れした時に、いまも薬物を使いたくなる。そんなときに相談できる場所があるのがうれしい」。
東京・霞ヶ関の東京保護観察所では監察官と観察対象者が1対1で行っていたプログラムを3,4人の集団形式に切り替えている。
経験や悩みを共有できる利点があるが薬物依存経験者が接点を深めると、再犯につながるリスクも高まる。このため集団受講では本名を名乗らせず、私語厳禁で、受講後は別々に帰らせている。
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