こんにちは北区王子の税理士松村憲です
徳川家光、家綱の補佐役・保科正之とは
徳川2代将軍秀忠の息子だった大名保科正之は、飢餓に苦しむ会津地方の救済に取り組み、その後、10万人以上の焼死者を出した未曾有の大災害といわれる「明暦の大火」においてリーダーシップを発揮するなど、江戸幕府草創期の危機に立ち向かいました。
90歳以上の領民に米を終身支給する年金制度を創設
~3代将軍家光の信頼が厚かった保科正之は、会津藩(現在の福島県西部と新潟県の一部)当主として手腕を発揮しました。当時、会津地方の農村は前任者の圧制で飢餓に苦しんでいましたが、お米を備蓄する「社倉」や、90歳以上の領民におこめを終身支給する独自の年金制度を創設し、会津の人々を救いました。世界ではじめて年金制度を創設したのはドイツのビスマルクといわれていますが、それよりも200年も早く年金制度を作っていたのです。
明暦の大火の消火に努め100万俵の米を町民に無償提供
~明暦3(1657)年1月、初期の江戸幕府に最大のピンチが訪れます。3日間に渡って、江戸の町の6割を焼き尽くし、10万人以上の焼死者を出したといわれる「明暦の大火」です。火の手は、あっという間に燃え広がり、幕府財政の金庫だった浅草の米蔵にまで迫りました。この時にリーダーシップをとって消火に努めたのが正之でした。この非常事態に、正之は蔵の中に入っている米100万俵を町民に無償で提供しました。さらに江戸のいたるところで炊き出しを配り、被災者には総額10万両の義援金を送りました。
江戸城天守閣の再建をやめさせ被災者救援に力を注ぐ
~明暦の大火の消火後、大名の中で「焼け落ちた江戸城をどうするか」という議題がありました。再興すべきだというこえが大半を占めるなか、正之は「天守閣は実用的な意味があまりなく、単に遠くを見るだけのものであり、無駄な出費は避けるべきである。それよりも被災者の救済にその費用を充てるべきだ」といい放ちます。このときの正之の発言により、被災者救援が優先され、江戸城の天守閣は再建されることなく今日に至っています。その後の町づくりによって江戸は世界に例のない100万都市へ発展しました。
正之は「自分はあくまでも将軍の後見役で目立ってはいけない」という信念をもっていたため、その資料のほとんどは焼却されたといわれ、隠れた名君としてしられています。
・保科正之(1611~1672)水戸藩主徳川光国、岡山藩主池田光政と並び江戸初期の三大名君の一人と称される。
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