近年、様々な法改正により、社会保険料の上昇など、人件費が増加していく傾向にあります。
人件費に影響を及ぼす制度改正のスケジュール
制度改正等 | 主な内容 | 施行日等 |
高年齢者雇用安定法の改正 | 65歳までの全員雇用を原則義務化 |
H25.4.1 ※12年間の経過措置あり |
労働契約法の改正 | 有期雇用社員の無期雇用化など |
H24.8.10から1年以内に施行 ※H25.4.1(予定) |
厚生年金保険料 | 保険料を毎年引き上げ | H29まで |
健康保険・厚生年金保険の改正 |
パートへの社会保険の適用拡大 ※当面は大企業のみに適用 |
H28.10.1 |
今後も人件費が増加していく傾向にあり、中長期的な経営課題として認識しておく必要があります。
人件費増加に直結する様々な法改正について、今回①は、高年齢者雇用安定法の改正について概略をお伝えします。
来年(平成25年)4月から、60歳の定年後も原則として希望者全員の雇用を義務づける高年齢者雇用安定法が改正され、65歳までの雇用が義務化されました。
実際には、経過措置があるので、65歳までの引き上げは段階的になります。
高年齢者雇用安定法の改正内容
現行の高年齢者雇用安定法では、65歳までの雇用確保のために、事業主に対して
① 定年制の廃止 ②定年の引上げ ③継続雇用制度
のうちいずれかを導入することを義務づけています。
このうち、継続雇用制度を導入した場合、継続雇用の対象となる基準(勤務評定や出勤率など)を事業主と社員との間で定めた場合には、その基準により希望者全員を継続雇用する義務はありませんでした。つまり、継続雇用者の対象者を限定する仕組みが認められていました。
しかし、改正によって、平成25年4月1日からは、継続雇用の対象者を限定する仕組みが廃止され、原則として(心身の健康状態の不調により業務の遂行に耐えられない人などは例外とされます)継続雇用の希望者全員を65歳まで雇用する必要があります。ただし、それらが完全義務化されるまでの経過措置が設けられています。
次回②では、労働契約法の改正、厚生年金保険料の引き上げの概略についてお伝えします。